プロローグ

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「美緒ちゃんは将来、画家さんになれるね」  そんなありきたりな誉め言葉が私の歩む人生の指針になっていったぐらい私にとって忘れがたい人。  今は絵が描けなくなった私だけど、あなたのことなら描いてみたいと思えた。あなたのことなら描けるんじゃないかって。  かりそめの姿ではない、あなたの本当の姿を描いてみてもいいですか?  あなたは特別な人。私にとってという意味じゃない。そう、あなたは人間ならざる者だったのでしょう?  あなただけじゃない。神社の入り口にいた蛇の阿吽像、あの子たちも多分、神主さんの仲間たち。違う?  だって、あの阿吽像もちょっと変だったよ。自分たちはきちんと阿吽像をやってる、って顔してたけど、日によって左右で尻尾の巻き方の向きが違ってるの気が付いていた?  ・・・でもね、このことは私だけの秘密にしておいてあげる。  
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