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さらに引きつけられた時、尻もちをついた。いきおいで両脚がVの字に高く上がってしまった。そのまま後ろ抱きにされた。パートナーとイチャイチャすることに忙しかったはずの男たちの視線が一斉にスカートの奥に向けられる。あわてて膝を合わせたが、後ろから抱かれているから、お尻が丸見えだ。あわてて膝を折りたたむ。
大好物が取り上げられてしまった子供のような視線がしばらく注がれていた。
──ウソ……。みんなパートナーのことにしか関心がないと思っていたら、違う。何気に視線がわたしに集まってくる。気味が悪い。
泉水は東条をソファー代わりにして寄りかかる体勢になった。彼の細くて長い脚が肘掛け変わりだ。
「……罪を犯そうよ」
後ろから耳元にささやかれた。
──何だろう。みんなで「罪」「罪」って。ほんとうにカルト教団なのかしら……。
「いいなあ、新入生は。東条さんをソファーにできて……」
「そうよねえ。腕を回されて安全ベルト付きで……」
女子はそれぞれにパートナーに愛撫を受けながらも、熱い息を漏らしながらも、泉水を羨望している。隣の芝生は青く見えるものなのだろう。
──やっぱり東条先輩ってモテるんだ……。
泉水はもう、東条と罪を犯すことに躊躇していない自分に気がついた。
「センパーイ。オレたちにも新入生回してくださいよぉー!」
「今年の新入生のレベル高くて、オレたち希望を抱いてコンパに参加したんですけどぉー!」
獣めいた願望が恥ずかしげもなく明かされる。その手はパートナーのからだの起伏を這っているにもかかわらずだ。
「バカ! オマエは今日はマナミとカップルだろ!」
──『今日は』って……。ウソ……、その日ごとにパートナーが変わるのかしら……?
「まさか先輩、お持ち帰りするんじゃないでしょうねぇ。暗い夜道、気をつけた方がいいですよぉー!」
「バーカ。こう見えてもオレ、黒帯だから。痛い思いをするのはお前たちだ」
本当らしい。
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