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純潔、守るの
新歓コンパは四月の末だった。それ以来ほぼ毎日デートを重ねてきたのだが、泉水は純潔を守りとおしてきた。
とはいっても、本当の意味での純潔ではすでになくなっているかもしれない。デートのたびごとに優しく包まれて揉まれたし、芝生の上で転がり互いのからだをめり込ますほどの力で抱き合っていたから。ボタンをはずされたところに指を突っ込まれ、胸の一番感じるところを直接弄ばれることもしばしばだったし、薄い布の上から指で、女の敏感でデリケートな地形をまさぐられたことも数えきれない。何度も快感の嵐に押し切られ、救いを求めるように男のからだに抱き着いた。そんなとき、男は固く長く太くなることを知った。あまりにもズボンを窮屈がるからしかたなく、ジッパー降ろしてもいいといったら、すでに下着のゴムをくぐって赤紫色に怒張しているものが顔をのぞかせているのも泉水は見た。女の子の悦びを探し当てられた瞬間、腰を高く突き上げてしまったこともあった。それだけでも恥ずかしいポーズなのに、噴き上がったものがショーツをびっしょり濡らしてしまい、羞恥と驚きで泣きそうになったこともあった。男が慌ててコンビニに着替えを買いに行ってくれたことが、今ではいい思い出だ。
それでも東条の前でまだ最後の一枚を脱いだことのない泉水だった。
五月の森林公園。平日だったから人はまばらだ。いや、ほとんどいないといってもいい。まだお互いの部屋の敷居が高く感じられるころだった。二人とも貧乏学生だから、ホテルに入る余裕もない。
「もう少し待ってほしいの」
森影で薄布が下げられそうになった時、思いがけずきっぱりした声が出た。
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