わたしのからだ、先輩の宝物にしてね

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 ──大きい……。  予想をはるかに上回る大きさと鋭角を目の前にし、泉水は口元に手を当て、息を飲み込む。のどがゴクリを音をたてた。東条にも聞こえたかもしれない。  八双に構えた男のモノの偉容は女の脚をすくませた。腹筋に力をを入れていないと、その場でへなりとなってしまいそうだった。  一度視線を落としてしまった泉水は、勇気を出し少しずつ視線を上げてゆく。男も視線がそこに注がれるのを待っている。鼓動を刻みながら待っている。  ──あんな大きなものがどうやってわたしの中に……  怖かった。青く浮き出た血管が網目のように這っている。くびれの先が押し寄せる血流で弾けてしまいそうだ。それはからだの一部ではない。一匹の野獣だった。  泉水はもう一度つばを飲み込んだ。そこから視線を上げると東条の優しい表情にぶつかった。いつもより紅潮しているが、瞳は泉水を柔らかく包んでくれている。 「オレのを……見ちゃったんだね」 「う、うん……」 「オレのじゃないよ」 「え?」 「キミのからだがオレのなら、オレのこれは……」  東条は野獣をつかんだ。日本刀を構えた武士のようだった。 「泉水ちゃんのものだよ。」 「嬉しい……。東条先輩のそれが……わたしのだなんて」  両目を両手で覆い、うつむいてしまった。その姿さえ東条にはかわいかった。 「泉水ちゃんを……見たい……」  その目つきは懇願ではなかった。決意だった。それを見てしまったあとの責任を一身に背負おうという男の強い意志が垣間見えた。  ──この人になら預けられる。この人の自由にさせてあげよう。 「先輩の宝物よ。よく見て……。わたしを……」  白いバスタオルがはらりと床に落ちた。女を知らない男の口元がピクリと動いた。オレンジ色の薄明りの中でふたりのからだは柔らかな輝きを放っている。 「先輩のものだよ。ほかの女の子と間違えないように、隅々までよく見てほしいの」    泉水はそろそろと一歩前に進み出た。東条の泣きそうな顔が見えた。
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