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「オッパイ小さいけど、すごく弾力あるんだよ……。」
高校の修学旅行の時、葉月に揉まれてそういわれた。乳房の密度がすごく濃いって。
「感度も……いいと思う。……多分だけどね」
これは新歓コンパの居酒屋のどさくさでの実体験だ。
泉水は両手で二つの丸みを軽くすくい上げてみせた。乳輪の色素が薄い。先端がピンと15度上を指している。
「下は……、あまり生えてないから、ご、ごめんね……。でもね、でも……、きれいなピンク色だから、気に入ってくれると思うの。ど、どうかな?」
自信ないのだろうか。声がだんだんかじかんで小さくなっていく。
泉水はベッドの端に腰かけると大きく息を吸ってゆっくり吐いた。両腕を後ろにつき、細い脚をそろそろと開いてゆく。
「よく見ておいてね。先輩の女はわたしだけだよ。ほかのコと間違えたらダメだよ……」
葉月のことをけん制したのだ。
女の開脚の前にしゃがんだ東条は徐々に中心に目を近づけていった。薄明りの中でも亀裂の両側にこんもりと盛り上がった丘の柔らかな曲線が見える。新鮮な果実のようだ。ビーナスの丘の下草は数えられるほどしかなかった。何も遮るものがないから、花びらの輪郭の凹凸が見渡せた。小さい……。きれいな花びらだ。亀裂の内部にしっかり収まっている。しっとりとした珊瑚色だ。そんな小さな花びらが純潔を守ろうと、けなげにしっかりと口を結んでいる。泉水のけなげさそのものだと思った。
シャワーのぬくもりがまだ残っているのか、それとも女の体温なのか、脚と脚の間は温かさと湿気に満たされていた。かすかな体臭が男の鼻腔をくすぐる。
「きれいだ……」
掛け値なしのまっさらの言葉だった。泉水はいたずらっぽく、ふふふ、と笑った。
脚の付け根の瑞々しい盛り上がりを、男は何度も強い視線で舐めあげるようにした。亀裂の土手が心なしかふっくらと隆起してきている。昂っているのだろうか。花びらもだんだん赤くなってきている。人はそれを熟れた果実のようだという。東条は違うと思った。そんな野性味はここにはない。
京都の老舗の生菓子……。
白地に薄桃色のぼかしを入れた求肥に細工を施された、桜をかたどった生菓子。
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