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中心に寄せ集められ蕾になった求肥を広げたいと思った。強く強く思った。わずかな隙間に小指を差し入れたい強い欲求が湧き上がってきた。だが、触ってはいけない。指を入れてはいけない。この精巧な芸術品をオレの指でケガしてはいけない、と東条は下唇をかんだ。
「まだ、だれも入ってきてないのよ。先輩のために大切にしてきたの」
男は、うんうん、と何度もうなずく。感動でほとんど泣かんばかりだ。亀裂の下方には可憐な小菊が咲いている。そこでさえ珊瑚色だ。その一帯が朝露に濡れているのかと錯覚するほどしっとりとしている。泉水自身あきらかに男に裸を見せることで興奮しているのだ。ああ、指を伸ばしたい。湿ったあの部分に触れてみたい。爪の先だけでもいい。あの生菓子に、あの小菊に触れることができたなら……。泉水はどんな反応を見せるだろうか。きっとかわいい喘ぎ声を上げるに違いない。
──その時こそ、オレは幸せの絶頂で昇天するだろう。
「わたしだってね、自分で触ったことないのよ」
「自分のものなのに、自分で触ったこともないなんて」
「お風呂で洗う時、柔らかいガーゼで優しくこするだけ」
「そうなんだ。女の子はガーゼなんか使うんだね」
泉水は幼子のように、クククとのどを鳴らした。
そうだ。こんなきれいな器官は、持ち主でさえ指で触れてはならないのだ。
東条はその笑い方がとてもかわいいと思って、彼女を見上げた。薄い翳りの向こう二つのふくらみがある。頂が桜シロップを垂らしたようにほんのりと染まっている。その間からいつもよりあどけない表情をした泉水の顔が見えた。このアングルこそ泉水の魅力を一望できる絶好のアングルだ、と東条は思った。
「一度だけ、先っぽを指で触ったことがあるの。かぶってる皮をはがして」
男は「そうなんだ」とつぶやいて、泉水の膝に手をかけた。そしてその部分がよく見えるように、ゆっくり開いた。女の子の恥ずかしがる器官が丸見えだ。いい気になり開きすぎたのだろうか、泉水が「あっ」と身をよじた。男は少しだけ力を緩めた。
どんなに脚を開いても珊瑚門はしっかりと閉じている。
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