わたしのからだ、先輩の宝物にしてね

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「先輩、神様って信じてる?」  泉水の声に現実に引き戻された。不思議な気分だった。自分は今まで泉水と一緒に桑畑の風景を楽しんでいたのではなかったか。妙に現実感のある回想だった。 「いてほしいとは思うけど……」  愛を誓い合った男女でさえ別れる。人と人の絆のなんともろいことか。そんな矮小さに比べて、自然からもらった美しさや圧倒的な存在感と感動。広々とした大地が幼子の心をも広く、深く広げていた。そのおおもとにとてつもなく崇高な存在があるような気がした。あれが神だったのだろうか。 「祈ったことなんてないよ。でも自分はいつも何か大きなものに抱かれている感じがするんだ。それが神様だっていわれたらそうかなって気もするし……」 「吹っ切れないいい方するのね。ふふふ……、かわいい」  年下の女子にかわいいといわれたのは初めてだ。泉水の神様はどんな神様なのだろう。 「裸のキミの前で、前を膨らませているこの男がかわいいか……」  そういうキミのほうがずっとかわいい、と心の中でつぶやいた。 「あのね、その時の感覚ってね……」 「うん」  そうそう。女の突起を触った時の話だった。 「神様に警告された気がしたの。これ以上ここを触ったら、悪魔の扉が開くぞって」 「悪魔の扉か……。そんなのオレのまわりの女の子から聞くの初めてだよ」  泉水は神様とか悪魔とか、そういう話がよく似合う。クリスチャンなのだろうか。 「それだけ刺激的だったってことよ」 「快感?」  泉水はちょこんと首を傾げた。自分でもわからないらしい。ああ、なんていう愛らしい仕草をするのだろう。女の子は裸になるとみんな赤ちゃん返りをするのだろうか。東条はからだを伸ばして、泉水のくちびるにキスをした。その時、男の源が泉水の太腿をかすった。先端がヌルっとし、噴き上げたい欲求が強まった。 「ねえ」 「ん?」 「入れたい?」  泉水の黒目が怪し気に光った。
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