夕日に酔って

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 東条は泉水の姿を追いながらはらはらした。アケミはワンピースだからまだいいとして、細身ではありながらも出るところはしっかり出、重力と反動で揺れている泉水のからだを、あんな小さなビキニが支え切れるのだろうか。  何かエッチなハプニングが起きたらいいと思った。いや、そんなハプニングが起きたらまずいと思いなおした。  砂浜に腰を下ろした東条は嫉妬を覚えている。つつましやかだと思っていた泉水が、ビキニで覆われているところ以外は人の目にされされているからだ。覆われている部位だって、薄い布がうまく隠しているとはいいがたい。あんなに尻がはみ出ているし、割れ目が輪郭を浮かべているし、ちょっとかがめば胸の先端が露出してしまうのだ。  突然、雨雲のような不安が彼の胸を覆った。  ──今日これからの計画。すべてを知っているのはタガヤンだけだ。オレと葉月とアケミには一部しか知らされていない。知らされた範囲で役割が与えられている。オレの役割……。  東条は脇で大の字で横になっている葉月を見下ろした。自分に与えられた役割を果たしやすい位置に葉月がいる。本来ならば恋人のタガヤンの隣に寝そべるはずだ。だが、タガヤンと東条の間、それも比較的東条に近い位置にいるのだ。  ──きっと、葉月の方からオレに何らかのアプローチがあるはずだ。オレはそれに呼応する形で行動すれば、自然、役割を完遂することになるだろう。  東条は足の先で葉月の脛を軽く蹴った。目を開け、意味ありげなアイコンタクトをしてくるだろうと期待したのが外れた。すーすーと葉月の寝息が聞こえる。ほんとうに寝入っているのだった。
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