1-5 花々の協力

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「あのとき、何を見ましたか」 「いつ」 「大男さまが来店したときです」 「お前には何が見えた」 「ひかり、何かがすり抜けて消えました」 「何色だった?」 「青」 「それが答えだよ」  女性がお手洗いに、とお願いされたとき。 確かに見たふわりと去る何か。  答えを瑚灯は知っている様子で、微笑んだ。  完璧な表情に茉莉花は、目を細める。 『食えねぇ野郎だな。こんなやつ無視しろよ、うっぜぇ』  またに茉莉花は頭が痛くなる。  人様の恩人になんて口の利き方を。もう少し優しい言い方を出来ないのか。  面倒な己の体質の原因に文句をこぼせば、内で嘲笑う声が脳に直接響く。 『僕はこいつが嫌いなんだよ』  返事はそこで終わる。  全く、と茉莉花は内の声を無視して、一つの部屋の前で立ち止まった。  すると中からかたん、と何かが動く音と気配がした。 「今なにかきこえました?」 「いや、聞こえねぇな」 「そうですか……起きたら妖怪さんにも伝えなければなりませんね」 「そうさな、まぁしばらくは無理だろうなぁ。彼女もだが、あのあやかし随分とご立腹だ。量は適量にしろってな」 「毒の適量ですか」  毒に適量もあるのか。毒として――傷つけるつもりで扱うならば、そんなのありはしない。  あって、たまるものか。 「とりあえずお前はあやかしのご機嫌とりに行ってくれ、なおるまで帰ってこなくていいぞ。台所で騒いでくれ」
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