1-1 招かざる客

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 反射的に身構えてしまうが、こういう客に毅然(きぜん)とした態度で立ち向かわないと、痛い目に合う。バレていないといいのだが。いや、顔と声共に変化しないので、滅多に見抜かれないので、いらぬ心配かもしれない。 「お待たせして申し訳ございません」 「ここが一番うまい店だと聞いたから足を運んだというのに、何でこんなに待たされなきゃならんのだ!」 「失礼いたしました。おこしいただき」 「ああそうだ! このわしが来たんだぞ!」 「はい、ありがとうございます。当店は初めてで」 「そうだ、来たことはない。だが飯が素晴らしい、ハナメも美人揃いと聞いたのに期待外れだったらどう責任をとってくれる!」 「ご期待に添えるよう、一同頑張ります。そのためにも、お食事について何を」 「決まっているだろう!」 (このあやかしさん、話を遮るのが趣味なのか)  通じているため今のところ困らないが、威圧的なのは少々問題だ。  他の客もひそひそと話しており空気が悪くなっている。あまり玄関で騒ぎを起こしたくない、早々に座敷に放り込むか。 「それとも貴様が相手をやるのか?」 「いえ、私ではハナメにはなれませんので」
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