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「でも、花街で、妓楼で」
「妓楼はありません。花街も、名残で呼ばれているだけです」
「え、え……?」
戸惑う彼女に、茉莉花は自分が口下手なのを恨んだ。
勘違いを正せる説明が、出来るだろうか。
「花送町の花街、全ての店で体を売る――つまり性的サービスなどはしていません」
「そ、うなんですか」
「そうです。この町にある店は基本的に全て、社交場です」
「社交場、それは、からだの」
「いえ。違います。狐花を含め花街の店は、あやかしと人間がお互いを理解するための機会を作る社交場って意味です」
ハナメも、あやかし、人間、男女色々働いている。
当然お触りは禁止。
会話とハナメが得意な芸を見せる程度だ。
楽しく食事して、お互いの常識や遊びなど話して終わりである。
「花送町にいるあやかしは人間を、人間はあやかしを、より深く知りたいと願っているそうです」
「……あやかしが?」
「あやかしも人間も。好きで町へ、やって来たものはお互いが気になって仕方ない。仲良くしたいそうで。その欲を満たすのが、この花街なんです」
「なかよく、だなんて」
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