1-4 団子の毒

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 大丈夫、とは知っている。  女性の団子をひとつ、摘まんで思案すること数秒。  覚悟を決めるか、と口を開けて、  ――食うんじゃねぇよ、馬鹿が。  声が響く。  久しぶりに喋ったと思えば、一言多い。  聞き慣れた乱暴な制止を無視して、団子を近づけようとしたが。 「――あーん」 「うわ」  後ろからひょいっと手首を掴まれた。  そのまま手の中の団子をぱくりと食べたのは。 「……瑚灯さま。来られたんですか」 「ああ。騒ぎを聞いてな」  濡れた赤い舌をちろりと覗かせて、なまめかしく唇を舐めた。瑚灯が意地悪く、笑う。  わざとだろう、潤んだ瞳を細めて茉莉花は見つめる。  何も知らぬものなら勘違いしてしまいそうな程に、熱を孕ませて、蕩けるような吐息が絡む。  思わず重いため息をついた。 「瑚灯さま、遊ばないでいただけると嬉しいです」 「仕置きだ。観念して受け入れな」 「仕置き?」 「危険な行動はやめろ、と言ったはずなんだがなぁ?」  怒っている。  笑っているし艶美(えんび)さも消えていないが、とても怒っている。  そして自分の魅力を分かっていての行動。  ずるいあやかしである。
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