1-4 団子の毒

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 まずい、非常に。  茉莉花はさっと彼から視線をそらして、事件について話を戻した。 「瑚灯さまも、知っているでしょう――この団子には毒は入っていない」  そうだ。  こちらの団子は問題ない。  瑚灯も当然だと頷く。 「うちの料理長は腕は確かだ。客の好みに合わせる。間違うはずない」  茉莉花は取り出した紙を丁寧に広げた。  自分の走り書きだ、大男から受けた調理の好みが書いてある。  しっかり茉莉花の口から料理長に伝えたので、間違いない。大男の注文内容は、 「『自分の分は毒あり。』。か」 「はい。好みに合うように、と言いました」 「は、好みに、ね」  にやりと笑う瑚灯に目をそらす。  あやかしは人の心を読むのが通常なのだろうか。それとも瑚灯が特別なのか。彼に隠し事ができた試しがない。 「あやかしには、毒を好むのもいる。それは三ヶ月で理解してます」 「ああ。毒が単純に好物な場合や、毒しか食えないやつ。それらを考慮して、どの店にも毒は常備してある」 「とくに、この団子はそうですね」  団子――彼岸花の団子である。
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