1-5 花々の協力

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 ゆらりと、橙色の彼岸花――いや、彼岸花の形をした狐火が瑚灯の手の上で咲く。  風にふかれるように、ゆったりと茉莉花の元へ来て、道を照らす。  幻想的な美しい花、茉莉花が見るのは二度目である。  これの役目は二通りあり、一つは危険から守ってくれることである。  やはり心配性というか、少し過保護気味だ。  妹分と思っているせいなのか、ずいぶんと恩人は甘い。 「はぁ、ありがとうございます」 「その危機感のなさ、どうにかしねぇとな」  半目で睨む瑚灯に、目をそらした。危機感はある、つもりなのだが、どうも他人からすると無鉄砲(むてっぽう)らしい。  イノシシかよ、と同僚に冷たい目で見下ろされたのを思い出す。  イノシシほど活発でも元気タイプでもないのだが。  とりあえず何を言っても言い訳になるので、ぺこりと頭を下げた。 「すみません」 「台所までの道は封鎖しておくから、そっちも好きだけ騒ぎな」 「了解です」 「茉莉花、気をつけな」 「はい」  彼岸花の炎に導かれるよう、歩み始める。  お手洗いを過ぎて右の曲がるとき、ふと後ろを見た。  瑚灯が芍薬姉と、もう一人のハナメ『瑠璃唐(るりから)』が厨房に入るところだった。  ちょうど、こちらに顔を向けた芍薬姉と瑠璃唐が手を振り、送り出してくれる。芍薬姉は微笑んで、瑠璃唐は呆れたような顔で。  三ヶ月で見慣れた、茉莉花の居場所に咲く花だ。  これからの仕事、流れをもう一度頭の中で復習して気合いを入れ直して前を向く。  廊下が終わり、裏口へと出て鍵を閉めた。
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