1-6 お出迎え

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「まいにち、まいにち。どくを、口に押し込められ、吐いて苦しむ姿を楽しげに見つめて。縛られて丸一日放置されて」  人権、などほど遠い。それ以下、家畜ではない、命だと思っていない。むごい日々だった、と引き()った(わら)いをこぼす。  何故か聞き覚えがある嗤いだった。  嗤うしかないから。  そうしかないから、勝手に顔が動くのだろうな。と想像が出来てしまう。 「……ここで身売りされると聞いたとき、救われたと思いました」 「何故ですか」 「ことうさま、というあやかしは少なくとも優しそうでした。あなたも、ハナメと呼ばれる方も、アレよりずっと、ずっと」 「身売りでもですか」 「あ、は。あはははッ、今よりマシですもの」  壊れていく彼女に唇をかみしめて、何とか彼女を押しとどめるように口を挟んだ。 「大男さまは、ご機嫌でしたね。貴女の好物……実際は違うでしょうが。それを高級店で食べようとする程度には」 「彼岸花の団子は、アレの好物ですよ。毒団子を好んでいるのです」 (最悪だな)  嘘だろうと思っていたが、大男の醜悪(しゅうあく)さが露見(ろけん)して暴言(ぼうげん)を吐きつけたくなる。  目の前にいないのが惜しい。 「初めて入る高い店に、食べに来た理由は祝いでしたね」  真実は見えている。  もうピースは集まっている。だから口に出すだけだ、というのに。息苦しい。 「大男は花街に来たことがないとおっしゃってましたね。この町で花街に入ったことがないのは大変珍しいのですよ」
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