72人が本棚に入れています
本棚に追加
何せ花街は、この町で一番安全な場所かつ数少ない遊び場だから。
瑚灯は花街全体を守る役割を担っている。
警察のようなものだと。花街のあやかしも人間も全員、瑚灯を知り、敬っている。
理由は目上の人間だからというだけではない。
彼の功績――花街では瑚灯の目があるから、他の場所より犯罪行為がはびこらないのだ。
広い場所なのに瑚灯は、全てを見通して未然に防ぐ。
偉業をこなしているから皆が尊敬している。
そして町の人は、安全で遊べる、
何よりあやかしと人間が、気兼ねなく遊べる花街が大好きで、ほとんどのあやかしと人間はやってくる。
逆を言えば、犯罪者からすれば花街は生きにくい場所で、犯罪者だけが避けている。
それだけで犯罪者とは決めつけられないが、女性への扱いを含めれば明らかだ。
「来た理由は、勧められたそうですが」
リスクを負ってまで来た問題は、今頃瑚灯が解決しているだろう。
茉莉花は女性の安否だけを気にしていればいい。
「貴女の境遇、祝い、奴隷扱いしているわりに、豪華な服装、花街を遠ざけていた事実から見えてくるのは」
近頃、人攫いが起きている。
瑚灯が守る花街ではありえないので、茉莉花には実感はない。が、おそらく。
「あなたは――売られる身であった」
花街ではなく、別の場所に。
アレが駄目になったら。弁償。
大男の発言に苦いものがこみ上げた。
反吐が出るクズ野郎だ。
最初のコメントを投稿しよう!