医大卒業と反抗

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医大卒業と反抗

医大に進学した雅彦は、そこで医学の知識を身につける一方で、家庭への反抗心を強めていった。 厳しい教育と冷たい家庭環境に対する反発から、彼は医大を卒業すると同時に家を出ることを決意した。 家を出た雅彦は、太宰由紀子の会社に事務員として雇われた。 彼の端正な容姿と冷静な態度は由紀子の目に留まり、やがて二人は肉体関係を持つようになった。 由紀子は雅彦にとって、失われた母性を補う存在だった。 彼女の成熟した美しさと冷徹な性格に、雅彦は心を奪われていった。 同時に蒲田愛子も雅彦に興味を持ち、彼女からのアプローチを受けた雅彦は、由紀子と愛子の両方と関係を持つようになった。 そんな中、愛子が独立を考え、雅彦を連れて行こうとした時、雅彦は深い葛藤を抱えた。 美しい愛子に惹かれながらも、彼の心の中では由紀子への異常な愛情が勝っていた。 雅彦は由紀子に相談し、彼女の指示を受けて愛子を殺害することを決意した。 雅彦にとって太宰由紀子は、母親そのものであり、心の安らぎであった。 女性なら変わりはいくらでもいるが、雅彦にとっての母親は太宰由紀子一人である。 その由紀子が愛子殺害を指示したのならば、それに背くことは雅彦には出来なかった。 由紀子という女性は雅彦にとってはそれほどの存在になっていた。                      
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