25人が本棚に入れています
本棚に追加
二人の関係
池上優子と佐々木健児は高校の同級生である
二人は高校2年の時、同じクラスになり、卒業まで同じクラスだった。
高校2年の夏休みにクラスメイトと夏祭りに行った際に、そこに健児と高校1年生の時から、同じクラスの大野健児がいた。
その大野健児と佐々木健児はクラス内で「ダブル健児」とからかわれた事がきっかけで、お互い話すようになった。
そこで大野は佐々木健児から聞いた不思議な話を、一緒に来ていた女子達に聞かせようと思い、佐々木健児に声をかけた。
「なぁ健児、おじさんに聞いたあの話をみんなにも聞かせてやれよ。」
地元の小学校で行われていた、夏祭りでちょうど一休みしている所だった。
飲み物を手にしている者や、たこ焼き、とうもろこしを手にしている者もいた。
2年になって仲良くなった人間もいるので、佐々木健治は話を始めた。
佐々木健児の父親は刑事であったが、高校入学前に癌で亡くなっていた。
健児は高校卒業後の進路は警察学校と決めていて、いつかは父親と同じ刑事になりたいと思っていた。
そんな健児が亡き父から聞かされた、不思議な話をみんなに話し始めた。
「俺の父親は刑事だったんだ。」
「色々な事件の話を聞かせてもらったけど、今でも信じられない話があるんだ。」
「親父が言うには、小学生の女の子二人が、下校途中に不審な男から声をかけられた時、1人の女の子がその男のスネを蹴って、走って逃げて、交番に駆け込んだそうなんだ。」
同級生たちは黙って、その話を聞いていた。
「その時、交番いた警官が直ぐに小学校方向に向かったんだけど、男の姿はなかったんだ。」
「その時、俺の親父がたまたま交番に居て、女の子二人と交番に残っていたけど、不審な男は見つからなかったので、女の子に話を聞くと、男の顔を見ているので、一度警察署に連れて行く事になったみたいなんだ。」
「親御さんにも連絡して、警察署まで来てもらう様にして、その日の内に事情を聞いたらしい。」
「親父の話では当時、行方不明の女の子が、その地域やすぐ近くの別の地域で、3,4人だったかな、いたそうなんだ。」
「怪しい人物は数人ほどいたらしいが、みんなアリバイがはっきりしないため、犯人を絞りきれない状態だったみたいなんだ。」
「それで少年課ではなく刑事課の親父が女の子に事情を聞いたらしい。」
「女の子に何人かの写真を見せたら、二人共同じ男だと証言したみたいで、直ぐに、任意同行をかけるため、部下を男の自宅に向かわせたらい。」
「その間は念の為に、女の子達を署に留めていたんだけど、なんでスネを蹴ったのかって、その子に訪ねたら、その女の子が変な話を始めたんだって。」
何人かの同級生は「何、何、何を話したの」と話に入り込んできた。
「うん、女の子は男の背中とか周りに、同じ年位の女の子達が何人かいて、その子達が『逃げて、逃げて』っていたらしいんだ。」
1人の女子が「えっ、意味分かんないんだけど」と健児に疑問を投げかけた。
「あぁ、そこは、えっと」と健児は言葉に詰まってしまったが、W健児の大野健児が助け舟を出した。
「ほら、それはさぁ、俺は前に聞いて思ったんだけど幽霊じゃないのか」と大野健児は話を加えた。
女子たちはちょっと怖がった様子であるが、疑ってもいた。
それを察した大野健児は、「いやいや、その先は聞けば分かるから」と大野健児が佐々木健児に目をやった。
それに気付いた佐々木健治は、軽く咳払いをして話を仕切り直した。
最初のコメントを投稿しよう!