死後の世界

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死後の世界

私は霊体となり、自分の死体が解体される様子を見ていた。 由紀子と雅彦は、冷徹な表情で私の体を切り刻んでいた。 特に彼の手つきは手慣れていた。 細長い綺麗な手に白いビニール手袋をはめていた。 彼は特に下半身を愛でるように眺めると、「グチャ、グチャ」と臓器に手を入れ、医療用のメスを使い、笑みを浮かべ解体を続けている。 それを横目で由紀子は見ていたが、気に留めることもなく雅彦の指示を淡々とこなしていたが、時折、微かな笑みが溢れていた。 彼らの行為には、後悔もためらいも見られなかった。 私は彼らの行動を見つめながら、心の底から呪った。 「由紀子、雅彦、あなたたちの罪は決して許されることはない。私の魂は、永遠にあなたたちを追い続けるだろう。」 月の光が一層強く輝き、私の霊体を包み込んだ。 私は、この世とあの世の狭間で、彼らへの復讐の炎を燃やし続ける。 私の美しい人生を奪った者たちへの呪いは、決して終わることはない。 そして福岡市の夜は再び静寂に包まれた。 しかし、あの夜の出来事は、永遠に忘れ去られることはないだろう。 私の魂は、まだこの街のどこかで彷徨い続けている。 復讐の炎を胸に、彼らを追い詰める日を待ち続けているのだ。
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