太宰由紀子

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太宰由紀子

夜の静寂が福岡市の街を包み込む中、私は一人オフィスの窓から外を眺めていた。 月明かりが薄く差し込み、冷たい光が私の顔を照らしていた。 あの夜、私の心は暗い嫉妬に染まっていた。 蒲田愛子という女性、彼女の存在は私にとって憎悪の対象となっていた。 私には家庭もありこの美容室もある。 最初は愛子とも上手くやっていた。 いや、それ以上の関係だった。 私達はベットをともにし、未来を語ることもしばしあったが、愛子が私を裏切った。 この店から独立すると言い出した。 そして、彼とも関係を持っていた。 彼、六条雅彦だけは渡したくない。 愛子には若さと美貌と才能がある。 ええ、独立だけなら許せたかも知れない。 でも、彼だけは、六条雅彦を奪うことだけは絶対に許せない。
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