犯行

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犯行

あの夜、私は冷静さを保ちながらも、内心では激しい感情が渦巻いていた。 愛子がオフィスに来ると知り、私は全ての準備を整えていた。 雅彦も、私の指示に従い、全てが計画通りに進んだ。 「愛子、話があるの。」 私の声は冷たく響いた。 愛子は不安げに私を見つめながらも、部屋に足を踏み入れた。 その瞬間、雅彦が背後から鈍器で彼女の頭を殴りつけた。 鈍い音と共に、愛子の身体が崩れ落ちた。 次の瞬間、私は彼女の首に手をかけ、絞殺した。 その感触は、私の中に深い満足感と共に、同時に恐ろしいほどの空虚感を残した。 この手に愛子の体温と息遣いが今も残っている。 あの美しい顔が苦痛に歪み息絶えていく瞬間、満足と達成感、高揚と空虚感が入り混じり、最後に空虚感が残った。 少しは私にも罪悪感はあったのだ。 それでも、雅彦の顔を見ると安心感に包まれた。 これで雅彦は私のものだと感じた。 後は、邪魔な愛子を処分する事だった。
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