無価値な落書きと揶揄される引っ込み思案な令嬢が好きな人のために自分を変える話

4/7
前へ
/7ページ
次へ
 ミリーはまず、自分の内向的な性格を改善するために、日常の小さなことから始めた。  毎日鏡の前で笑顔の練習をする。  挨拶は相手の顔を見てしっかりした声でする。  社交の場で自ら話しかける。  話題の幅を広げるために、多くのジャンルの書物を読んだ。  小さな挑戦を繰り返した。 「あらいたの?」 「そんな声も出せたのね」 「意外と博識なのですね」  人々の反応は揶揄半分、驚き半分。  ミリーはリックに会ったときに、好きなものを聞いた。  趣味、好きな食べ物、好きな本、休日の過ごし方。  とにかく、なんでも。 「リック様。あなたの好きなものを知りたいです。本はお好きですか? おすすめがありましたら教えてください」 「ミリー殿は本がお好きなんですか? でしたら、馬術入門が良かったです。暴れ馬の対処の仕方も詳しく載っていて」 「ありがとうございます。私も乗馬がうまくなりたいので、読んでみます」 「ふふっ。なら貴女が乗馬の腕に自信がついたら、一緒に遠乗りに行きましょうか」  リックが好きなものの知識と理解も深めて、リックの好きなものを自分も好きになった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加