無価値な落書きと揶揄される引っ込み思案な令嬢が好きな人のために自分を変える話

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"小さな屋敷の壁に飾るのもおこがましい、無名作家の落書きのような人間"、それが男爵令嬢ミリーだった。  ミリーは幼い頃から引っ込み思案で、社交の場でも目立たず、うつむきがちで声も小さい。  会話に加わっていたことすら忘れられてしまう。  まるでそこにいないかのように感じられることが多かった。  周囲から「無名作家の落書きレベルに華がない」と揶揄されることもあった。  ミリーはそれに慣れてしまっていた。  ミリーの家は裕福ではなかったが、ミリーは心優しく、使用人たちにもいつも丁寧に接していた。ありがとう、とお礼を言うことを忘れなかった。  そのため、ミリーのことを理解し、好意を持つ人も少なからずいた。  しかし、ミリー自身は自分の性格をだめだと思っていた。自分の内気な性格に悩んでいた。 「変わりたいわ。リック様のように、太陽のような明るさがほしい」  ミリーは地上の太陽とうたわれる、明るい青年に憧れていた。
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