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2.嫌がらせ
——バシャリ。
顔を濡らす羹は魚介で作られているのか海の香がした。
長いまつげの先から、顎から濁った水が滴り、膝の上で握られた拳へと落ちていく。急ごしらえで仕立ててもらった官服が台無しとなってしまったなぁ、と紫苑はどこか他人事のように思った。
そして、せめてもの救いは羹が冷えていたとも思った。これが作りたてなら紫苑の顔は大火傷を負っていただろう。
紫苑は顔を拭くでもなく、ただ平然と目の前で笑う天凱を見つめた。その手には空になった器が握られていた。
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