杉沢晴人は勇者になれない~悪役神に与えられたスキル、実は最強でした~

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俺の言葉にはにかんだ様な笑顔を浮かべるマリア。 それから、俺とマリアは数日間、静かに――穏やかに共に暮らした。 だが、俺とマリアが身を隠し、共に暮らす様になってから数日後の夜――。 ドォォンッ!!! 何かが爆発する様な大きな音が部屋中に響き渡り、凄まじい衝撃と白煙(はくえん)が周囲を襲った。 激しく揺れる地面に、俺は思わず膝をつく。 そうして、先程まで目の前にいたマリアの姿が見えないことに気がついた。 あまりに濃い白煙に覆われ見えないだけかもしれないが――何だかとても嫌な予感がする。 「マリア?!どこにいるんだ、マリア!」 地面に膝と手をついたまま、大きく声を張り上げる俺。 すると、 「きゃぁぁぁ!」 絹を裂く様な甲高い女性の悲鳴が響いた。 (間違いない――!これは、マリアの声だ!) 「マリア?!どうした?!大丈夫か、マリア!」 姿の見えないマリアを求めるかの様に、俺は意を決して立ち上がると、両手を前に出し、手探りで歩き出す。 と、徐々に視界を覆っていた白煙が薄くなり、周囲の光景が見え始めた。 同時に露わになるのは、大きく穴があき、夜空がはっきり見える様になった屋根。 それと――。 「ぅぅ……お逃、げ、くだ、さい……晴人、様……」 有り得ない程大きな手に上半身を握られ、苦悶(くもん)の表情を浮かべながらそう告げるマリアの姿だった。
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