19人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
俺の言葉にはにかんだ様な笑顔を浮かべるマリア。
それから、俺とマリアは数日間、静かに――穏やかに共に暮らした。
だが、俺とマリアが身を隠し、共に暮らす様になってから数日後の夜――。
ドォォンッ!!!
何かが爆発する様な大きな音が部屋中に響き渡り、凄まじい衝撃と白煙が周囲を襲った。
激しく揺れる地面に、俺は思わず膝をつく。
そうして、先程まで目の前にいたマリアの姿が見えないことに気がついた。
あまりに濃い白煙に覆われ見えないだけかもしれないが――何だかとても嫌な予感がする。
「マリア?!どこにいるんだ、マリア!」
地面に膝と手をついたまま、大きく声を張り上げる俺。
すると、
「きゃぁぁぁ!」
絹を裂く様な甲高い女性の悲鳴が響いた。
(間違いない――!これは、マリアの声だ!)
「マリア?!どうした?!大丈夫か、マリア!」
姿の見えないマリアを求めるかの様に、俺は意を決して立ち上がると、両手を前に出し、手探りで歩き出す。
と、徐々に視界を覆っていた白煙が薄くなり、周囲の光景が見え始めた。
同時に露わになるのは、大きく穴があき、夜空がはっきり見える様になった屋根。
それと――。
「ぅぅ……お逃、げ、くだ、さい……晴人、様……」
有り得ない程大きな手に上半身を握られ、苦悶の表情を浮かべながらそう告げるマリアの姿だった。
最初のコメントを投稿しよう!