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俺の名前は、杉沢 晴人。14歳。
日本で長くから続く華族の家系、杉沢家の末っ子で6男だ。
そして、今日――4月10日は、俺の15歳の誕生日なのである。
「よし!いよいよ来たぞ、15歳の誕生日が!」
喜びを隠し切れず、朝起きたら直ぐに部屋の中でそう叫ぶ俺。
そう、俺は長年この日を待っていたのだ。
15歳になるこの日を。
と言うのも、神の力を与えられた家系では、子供が15歳になると直ぐ、自動でその人間のスキルが開花すると言われている。
そうして、その能力を詳しく鑑定する為に、15歳の誕生日には各地に設けられた鑑定の館に、家族で赴くのがしきたりだった。
(俺のスキルはどんなのかなぁ!)
俺はワクワクしながら、早速洋服を着替えると、家族が待つ食堂へ向かっていく。
と、すれ違ったメイドのマリアが声をかけて来た。
「ふふ、お誕生日おめでとうございます、晴人様。なんだか、今日は朝から楽しそうですね」
くるくるとウエーブのかかった長い亜麻色の髪を揺らしながら、柔らかく微笑むマリア。
マリアは、俺が小さな頃からうちで働いてくれているメイドで、俺より7つ年上の22歳だ。
昔から穏やかで包容力のある性格で、俺は彼女を姉の様に慕っている。
そんな彼女に、俺は胸を張ったままこう答えた。
「だって、今日は俺のスキルがわかる日だからさ!ずっとこの日を楽しみにして来たんだ!」
そう言うが早いか、俺はマリアに手を振ると、半ばスキップをする様に食堂の中に入っていく。
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