杉沢晴人は勇者になれない~悪役神に与えられたスキル、実は最強でした~

2/27

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
俺の名前は、杉沢(すぎさわ) 晴人(はると)。14歳。 日本で長くから続く華族の家系、杉沢家の末っ子で6男だ。 そして、今日――4月10日は、俺の15歳の誕生日なのである。 「よし!いよいよ来たぞ、15歳の誕生日が!」 喜びを隠し切れず、朝起きたら直ぐに部屋の中でそう叫ぶ俺。 そう、俺は長年この日を待っていたのだ。 15歳になるこの日を。 と言うのも、神の力を与えられた家系では、子供が15歳になると直ぐ、自動でその人間のスキルが開花すると言われている。 そうして、その能力を詳しく鑑定する為に、15歳の誕生日には各地に設けられた鑑定の館に、家族で(おもむ)くのがしきたりだった。 (俺のスキルはどんなのかなぁ!) 俺はワクワクしながら、早速洋服を着替えると、家族が待つ食堂へ向かっていく。 と、すれ違ったメイドのマリアが声をかけて来た。 「ふふ、お誕生日おめでとうございます、晴人様。なんだか、今日は朝から楽しそうですね」 くるくるとウエーブのかかった長い亜麻色の髪を揺らしながら、柔らかく微笑むマリア。 マリアは、俺が小さな頃からうちで働いてくれているメイドで、俺より7つ年上の22歳だ。 昔から穏やかで包容力のある性格で、俺は彼女を姉の様に慕っている。 そんな彼女に、俺は胸を張ったままこう答えた。 「だって、今日は俺のスキルがわかる日だからさ!ずっとこの日を楽しみにして来たんだ!」 そう言うが早いか、俺はマリアに手を振ると、半ばスキップをする様に食堂の中に入っていく。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加