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(はて……フランスの国王はとてつもないロリコンだったのだろうか?)
俺が社会の時間に習ったマリー・アントワネットは立派な成人女性であり、教科書に載っていた彼女の絵画も大人の女性だった気がするが。
激しく疑問に思った俺は、つい少女に尋ねてみる。
「俺が習ったマリー・アントワネットとお前は偉く違う気がするんだが……」
と、俺の言葉に何故か「ふふん」と胸を張って来る少女。
彼女は偉そうにその真っ平な胸を張ったまま、こう告げた。
「そうよ!あたしは確かに成長して大人になり……そうして、捕縛されて処刑されたわ。でもね?死の神様に力と肉体を貰って……気付いたらこの姿になっていたのよ。あたしが、一番幸せだった時のこの姿にね」
(成る程……)
どうやら、死の神とやらは死んだ英霊達を蘇らせるだけではなく、その姿を英霊が一番幸せだった頃にまでわざわざ調整してやっているらしい。
「そのおかげで、私は、今とっても幸せな気持ちなの!あんた達の魂も刈り取れたら、もっと幸せな気持ちになれたのに。とっても残念よ」
少女――マリーはやや不貞腐れ気味にそう言うと、再度ぷいっと横を向いてしまう。
(これは、目的を聞くまで時間がかかりそうだ……)
最早、再度のくすぐりの拷問もやむなしか?
俺がそう思った瞬間、
ドォンッ!!!
轟音が辺りに響き渡ると同時、部屋の壁に大きな風穴があく。
俺達が慌ててそちらに目を向けると、そこには――、
「あん?誰かと思いや、うちの無能の末弟じゃねぇか」
大きな鎌を肩に担いだ上の兄、昼也の姿があった。
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