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だが――。
ガキィン!!
激しく金属が何かにぶつかる音が響き渡る。
次いで、粉々に砕け散った金属の欠片がパラパラと目の前に落ちて来た。
元は鋭い刃であったのであろうソレ。
それは――昼也の大鎌の欠片だった。
まさに岩の様な硬度となった俺の肉体に弾かれ、大鎌の方が悲鳴をあげたのだ。
「な、んだと……?!」
最早ただの金属片となった――柄しか残っていない大鎌を見つめ、一瞬茫然とした表情を浮かべる昼也。
だが、次の瞬間――彼は直ぐ様怒りに満ち溢れた表情を浮かべると、俺に向けて能力を宿した手を振り翳して来た。
「俺にはまだこのスキルがある!!!俺はまだ負けてねぇぇぇ!!!!」
昼也はヒステリックにそう叫ぶと、吸引の力を解放して俺の肉体ごと引き寄せようとして来る。
が、岩と化した俺の肉体は昼也の凄まじい吸引力にもびくともしない。
と、同時に俺の目の前の画面に「弱点解析完了」の表示が出た。
(よしっ……!)
俺はボロボロになった手を伸ばすと、解析結果画面に繋がる矢印をタップする。
するとそこには、
「敵性存在解析完了 弱点:足、葦、楠」
と、いう結果が表示される。
その時俺の脳裏をよぎったのは、昼也の能力のもとになっている蛭子神――そんな神が生まれた時の神話だった。
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