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「ハッ、お前マジでかかって来る気かよ。この俺に?無能のくせに」
先ほど俺の能力で鎌を粉々に打ち砕かれた筈なのに……どうやら、それを一切認める気は無さそうな兄。
俺は2本の木刀を大きく構えながら、少しずつ……じりじりと兄との距離を詰めた。
「……俺は、もう無能じゃない。俺には、この力がある……。マリアを……俺の大切な者を守れる力が……!あんたを倒して、俺はそれを証明する!」
俺は木刀を大きく振り下ろしながら兄に飛びかかった。
しかし――。
「だから、それがありえねぇっつってんだよ!」
兄が吸引の力を発揮する。
(大丈夫だ。俺の体は岩化で守られている筈……!)
俺はそのまま、木刀を構えて兄に突進する。
だが――。
ドンッ!
突如、鈍い衝撃が俺の全身を襲った。
(何だ……?!)
どうやら、背後から何者かの攻撃を受けたらしい。
慌てて振り返る俺。
そこには――兄の吸引の力によってこの家から引き剥がされた箪笥やドアなど沢山の家具が山積みになっていた。
それらが兄の吸引の力によって、兄の目の前にいる俺目掛けて吹き飛んできたのである。
「っ……?!」
無数の家具に襲われ、思わず足を止め、両腕で防御の姿勢をとってしまう俺。
そんな俺のガラ空きになった腹に、瞬時に近づいて来た兄が容赦のない蹴りを放って来た。
「わかったか?無能が調子に乗ってっとこういうことになんだよ!」
兄はそう言い残すや一旦俺から離れ、また沢山の家具で攻撃を仕掛けて来た。
立ち止まることを余儀なくされる俺。
確かに、全身の岩化で傷や怪我は最低限には抑えられているが、それでも何度も大型の家具にぶつかられれば少しずつ肉体に痛みも現れ始める。
それに、大きな家具は丁度良い目隠しにもなる為、兄が何処にいるか近づかれるまで判別できず、俺は苦戦を強いられてしまった。
と、そんな俺の視界で画面に新しい表示が現れる。
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