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「お、今日は早いじゃないか、晴人」
そこにいたのは5人の兄達と両親だった。
「今日は誕生日だし、スキルの鑑定の日だからさ!待ち切れなくて!」
俺はそう答えると、自分の席につく。
そうして、「いただきます」というとマリアが運んでくれた食事に口をつけた。
「今日からお前も俺達勇者の仲間入りか」
誇らしげにそう笑うのは長兄の炎矢、27歳。
『火之迦具土神』という炎を操る強力なスキルを持っており、日本では最強で最高の勇者とも呼ばれている、俺の自慢の兄だ。
ちなみに、スキルはどの国でも神の名前自体がスキル名となっており、1人1人与えられる神のスキルは違っている。
神から力を与えられているからと言って一家全員が同じスキルを使える訳ではないのだ。
(でも、出来るなら炎矢兄みたいな強くてかっこいいスキルがいいなぁ。そして、俺も沢山の人を助けて立派な勇者になるんだ!)
一番上の兄と話しながら、勇者になった自分の姿を胸に描き、ほんの少しだけにやける俺。
と、そんな俺の隣に別の少年が座って来た。
「ま、お前は親父のお気に入りだからなぁ。直ぐにでも立派な勇者様になれんじゃねぇの?」
嫌味ったらしくそう告げるこの少年は、四男であり、俺より1つ年上の兄の昼也、16歳。
『蛭子神』という、物質を流したり吸ったりするスキルを持っている。
俺自身は昼也兄さんのスキルも十分強力だと思うのだが、兄さん本人はどうやらそう思っていないらしい。
何かあると、いつも炎矢兄や末っ子の俺にこうして突っかかって来るのだ。
そんな昼也兄さんを諌める様に、正面に座っている父さんが口を開いた。
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