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「昼也。今日は晴れの日なのだから止めなさい。まぁ……期待をしている、というのは事実ではあるがな」
父の名前は土岐。
『大山津見神』という、土を操るスキルを持っている――齢45歳にして現役の勇者だ。
「改めて言うまでもないが、お前は天照大御神から力を与えられるように晴人と名付けたのだ。日本最高の神と契約し、日本最高のスキルを持った、日本最高の勇者を我が家から輩出する為に」
既に食事を終えていた父は、ゆっくり僕に近寄ると、そっと頭を撫でながらこう言った。
「だからお前には、昔から乗馬に剣道、空手や合気道など沢山の武術を学ばせて来た。いや、それだけではなく精神力や審美眼も共に鍛える為、華道やヴァイオリンなども習わせて来たな。それが、今日やっと結実するのだ」
そんな父の――期待に満ちた言葉に、なんとなく息苦しいものを感じつつ、
「はい。父上の期待に応えられる様頑張ります」
と、何とか笑顔を作りながら答える俺。
俺の返答に満足したのか、父は何度も頷いてみせた。
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