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「この望月君は見所があるき、勝先生の下で航海術を学ばせようと思いゆうがじゃ」
「海軍操練所は来年春に開設と聞いていますが」
土方が言った。
「そうなんじゃ。けんど攘夷戦争が起こりそうな雲行きやき、この先どうなるか分からん」
ここ最近、外国との関係は再び緊迫の度を増している。
孝明天皇の攘夷の決意は固く、その実行を再三に亘って将軍に迫った。
幕府としても攘夷の旗を降ろすわけにはいかず、家茂の再上洛が決まったのだ。
「ほいなら、わしらぁいぬるき」
言って、すっくと立ちあがる。
龍馬は右手をかざし、望月とともに去っていった。
しばらくして容保と大久保が戻ってくる。
大久保の機嫌はすっかり直っており、
「先ほどは取り乱してすまんやった。ゆっしてくれ」
と、頭をさげた。
「返事は今度でよか。お仲間とよう相談して、決めてもんせ」
「ありがとうございます。持ち帰って、検討させていただきます」
近藤と土方は、深々と一礼し、藩邸をあとにした。
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