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それに対する容保の返事は、数日して届いた。
幕臣取立ての件については近藤らの意見を尊重し、今まで通り自立した浪士集団として取り扱う旨が綴られていた。
しかし報酬に関しては、是非とも支払わせてほしいという。
新撰組の活躍に対し今までの金額ではあまりに申し訳なく、応分のものを考えているとのこと――。
すなわち、局長の近藤が五十両、副長の土方と山南が四十両、助勤の沖田・永倉ら試衛館一門が三十両、平隊士が十両という内訳である。
「金で我々を骨抜きにしようという腹でしょう」
山南敬助が不快そうに言った。
藤堂と斎藤も「断るべきではないか」と山南に同調する。
しかし一方で、纏まった金が喉から手が出るほど欲しいのも事実だった。
芹沢暗殺が近藤一門の仕業だということが公然の秘密となったことで、芹沢に近い隊士たちの中から脱退する者が相次いでいた。
百姓上がりの近藤・土方を頂点に戴くことに難色を示す隊士もいる。
今まで芹沢がゆすり盗った金品が隊を潤おしていた側面は否定できず、それが途切れたことでも不満が高まっていた。
「幕臣という縛りはないのだから、これまで通り我々の自主性は重んじられる。金だけなら受け取っても差し支えないのではないか」
皆の心の声を代弁するように言ったのは、土方だった。
「どうだい、山南さん」
近藤が訊ねた。
「分かりました。自主性が担保されるのであれば、お金は遠慮なく受け取りましょう。我々にはそれだけの価値がある」
「そうとも」
近藤が頷いた。
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