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 こうして、新撰組は報酬の受け取りを決定した。  収入の増大によって、以後隊士らの生活は一変することになる。  今まで自由に行けなかった遊郭へも頻繁に通え、酒も好きなだけ飲むことができる。  近藤は、義父・周斎が重病に倒れたとの報に接して以降、少ない収入の中から多くを仕送りに当ててきたが、これで遠慮なく島原・木津屋の深雪太夫(みゆきだゆう)に会いに行ける。  土方も隊士らとともに遊郭に繰り出しては、東雲太夫、君菊、小楽などの馴染みを数多く作った。  土方は花街の女たちからとにかくよくもてた。  この頃小野路の小島鹿之助に宛てた書状の中で、 「報国の 心を忘る 婦人かな」  という遊び心に溢れた句を土方は詠んでいる。  
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