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おどけたように肩をすくめ、両手を大きく広げる。
新見たちに向かって声をかけた。
「おい、相模屋だ」
懐から鉄扇を取り出し、再び肩を叩きながら高笑いを発すると、そのまま悠然と歩き去っていく。
芹沢らの去った路上には、安堵感が広がった。
沖田と藤堂の若手二人が消火活動を開始する。他の者もそれに続いた。
「近藤君」
山岡が気の毒そうな顔で近藤の前に立った。
「辛抱してくれ。あの芹沢も、尊皇攘夷の旗頭として必要な人材なのだ」
「分かっております」
近藤は深々と一礼し、山岡を見送ると、消火活動に加わった。
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