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「あんたは甘すぎる」 「馬鹿にするな」 「事実をいったまでだ」 「歳さん」  近藤は盟友を見据えて言う。 「強硬策だけじゃうまくいかない。恐怖と弾圧で隊士たちを縛り付けるのはもう限界だ。だから、こういう事態になったんだろう」 「俺のせいだというのか」  心外だと言わんばかりに目を剥いた。 「あんたは分かってないんだ、近藤さん。こんな時代に少しでも甘い顔を見せたら寝首をかかれるのがおちだ。鉄の規律で統率するしかないんだよ」 「新撰組の総長はこの俺だ。総長命令には従ってもらう。伊東さんの件は俺が決裁する」  近藤は、いつになく激しい口調でいうと、おもむろに立ち上がった。  ぷいと顔をそむけ、足早に部屋を出ていく。  土方は唇をかみしめ、両こぶしを握り締めて虚空をにらんだ。    
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