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 だがしかし――、  この八木邸内には、清河のやり方を内心快く思っていない、もう一つの集団が宿泊している。  清河の主張には一点の非もないため、やむなく血判状に署名はしたものの、彼の配下となって攘夷戦争に突入するなどまっぴら御免だと考えている。  ――水戸天狗党出身・芹沢鴨とその一派である。  八木邸には、試衛館一門と芹沢らの二派閥が同宿しているのだ。  芹沢は、清河の支配から逃れ、自らがトップに立つよい方策はないかと、新見錦ら四名とともに密かに策謀を巡らせていた。  同じ尊攘派の巨魁に対する芹沢のライバル心は尋常ならざるものがあった。  これもまた、近親憎悪の一形態と呼ぶことができるだろう。
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