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「もともと土佐勤王党にいたのに、脱藩して尊攘の志士になるかと思いきや、突然開国派の勝麟太郎の弟子になって、今度はまた土佐藩に戻りたいという……支離滅裂じゃないか」
「それがあの人の魅力ですよ」
山南が笑っていった。
「どうだろう」
近藤が話題を変えるように口を開く。
「せっかく三条まで来たんだから、このあたりで飯でも食っていかんか」
「いいですね」
と藤堂。
「京名物っていったら何だろう」
「何でしょうね。あ、そういえば祇園が近いですよ」
「祇園か……」
近藤は唸るように言った。眉間に皺が寄っている。
「馬鹿。懐具合を考えてから言え」
土方が近藤の内心を代弁するようにいった。
「でもせっかくここまで来たんですから、行くだけ行ってみませんか。どんなところか見てみたいし。で、その後どこか安いうどん屋にでも入ればいいでしょう」
籐堂の提案に、
「そうだな」
四人は笑って三条大橋を後にした。
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