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「そうそう」 「井上さんまで何ですか。分かりました。さっきの話に戻しましょう。摂海での攘夷断行の件ですが……」 「そんな話はどうでもいい」  土方が悪戯っぽい笑みで、沖田ににじり寄っていく。 「この野郎、一人だけいい思いしやがって」 「何言ってるんです。土方さんだって三日おきにお琴さんから手紙が届くじゃないですか」 「うるせえ」  吼えるように言うと、沖田に襲い掛かる。床に押し倒し、上から覆い被さって横腹をくすぐった。永倉と原田も加勢する。他の者たちは大笑いしながら見守っている。 「やめてくださいよ、土方さん。……きゃはは…やめ、やめて……きゃは。きゃははははははははは」  沖田は身をよじって悶え笑った。
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