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将軍の突然の帰府発表は近藤ら試衛館一門に衝撃をもたらした。
「我々も共に帰府すべきである」
当然のごとく東帰論が湧き起こる。
特に永倉、原田、藤堂の三人が強硬だった。
だが、すでにこの時点で壬生浪士組は五十名近い大所帯に膨れ上がっており、その半数以上は京で募集した面々だ。
彼らにとって生活の根は京にあり、江戸は見知らぬ土地である。攘夷が江戸で決行されるなら喜んで行くが、攘夷の予定のないまま江戸へ赴くのは嫌だという者が大半を占めた。
しかもまだ、大坂攘夷の勅命は生きている。
朝廷はあくまで大坂で攘夷を決行する気なのである。
将軍は事後処理のため一時帰府するのであって、調整が終わればこちらへ戻ってくる。
ならば京に残り、治安を守りながら将軍の到着を待つべきではないか。もし江戸で攘夷決行となれば、その時に駆けつければよい。
自然意見は、その方向に収斂されていった。
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