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「ゆっくりお休みいただきたかったので、睡眠薬を……。それから三日間、姫さまは目を覚ますことはありませんでした」  つまりアンジェラの中で、三日のずれが生じているということになる。 「何故そんなことをしたの? 女神様の占いに何か不備でもあったのかしら?」 「前回の占いの際、王様は女神様より『城に何者かが入り込んでいる』という言葉を受けたそうです。そのため、姫様に接触するのではという懸念を抱いたと仰っておりました」 「.…私が裏切るとでも? 村も人質に取られているのに? 馬鹿馬鹿しいったらないわ」 「念には念をでございます。王様も姫様を疑っているわけではありません。さぁ姫様、占いの準備に入ります。まずは湯浴みに参りましょう」  日にちがずれていたとは考えもしなかった。ということは、村では今頃脱走計画が進行中に違いない。最悪の場合、私だけが一生ここに縛られることになるが、同族の男性が見つからなければ、女神の力もここで絶えることになる。それでも結果としては良いと思えた。  だがそれよりも、トーマスのことが気になった。もし自分のせいで彼を危険に晒してしまったらどうしようと心配になる。  彼のことは絶対にバレないようにしなければーーそう固く心に誓った。  せっかく協力してくれる人が見つかったのに……残念に思いながらも、今は自分が守るべき人のために、やるべきことをしなければ。  新月の占いが始まるまで、あと三時間ほど。アンジェラの中で、自分の未来への諦めと覚悟が決まった。
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