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黒の塔の創造 1
「そろそろ本格的に塔を創造した方が良いよね、クロ」
買い出しから帰宅してすぐ、小夜は心を決めた。
あと季節3つ分の猶予はあるとしても、慣れないことは早めにトライした方が良い。
小夜は自分の得た情報から、塔システムは、まるで仮想世界のダンジョン経営と対戦が融合したゲームみたいだ、と感じている。
なぜなら、塔の中では誰も死ぬことはない、とされていたからだ。
厳密に言えば、塔主が塔を防衛するために召喚する配下――幻獣や魔物達は微妙なところかもしれない。
それらは塔の挑戦者、冒険者や騎士等が攻略する場面で敗者になり次第、魔石や素材として徴収されてしまうらしいので。
塔主も挑戦者達も、もし塔内で命を落としても、ペナルティーはあるものの、定まった場所にて復活するとある。
日をまたぐ刻に、塔主は宝珠の元、挑戦者は門の控えの間にて、とのことらしい。
とはいえ、怖がりの小夜は、例え復活すると言われても、死にたくはない。
ペナルティーも分からないままだし、出来ることなら万全を期したいところだ。
そのためにも、小夜は仮の塔主となってから毎日、塔石板の指示通り、黒珠に力を注いでいる。
クロもまた、毎回黒珠にタッチするのも、御愛嬌。
どうやらこの蓄えた力を使い、塔や配下を創造もしくは召喚するようだった。
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