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黒の塔主(仮)
「黒の塔主として、無事就任の儀を果たされましたこと、お慶び申し上げます」
たったこれだけ、とも思える小夜を他所に、ザッと一矢乱れぬ動作で跪く、神官と神兵達。
その後、小夜とクロは塔を創造すべき場所へと案内される。
そこは塔街区の東の果て、海辺に面した1画だった。
指し示され、小夜が一歩を踏み出した途端、驚くべきことに頭の中で小夜の、黒の塔主の領域が知覚できる。
小夜の伴は、「黒の塔が創造され挑戦がなされる時期が来るまで、何人も塔主の領域を犯すことはありません。以後の事は、塔石板の導きのままに」と延べ、去って行った。
小夜には、領域内にある塔石板の位置がハッキリ分かった。ソレを目指し、クロと移動する。
小夜の領域は、緑に溢れていた。遠くには、海も見える。
此処に塔を創造するのか、と小夜は途方にくれた。
塔石板は、海辺から程近い切り立った崖の上にあった。
大きめのタブレット2枚分程の塔石板が、一体化した台の上に水平に置かれている。
塔石板の横には窪みがあり、どうやら其処に黒珠を入れるようだ。
小夜が握りしめていた黒珠を窪みに入れた時、知覚していた領域内が淡く光った。
そこで、小夜はこの領域の主となったことを自覚する。
塔石板もまた淡く光り、まるでタブレットのように塔や塔の守護者の創造・維持方法を伝えてくる。
小夜はまず、仮の塔主になったらしい。
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