雨上がりには君がいる

1/1

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
 光芒。天使の梯子。  雲間から差し込む陽の光は天界の(ススキ)であり梯子(ハシゴ)であるらしい。あの梯子を昇って、きっと君は見たこともない景色を見るのだろう。クリスタルで輝く街路樹に見送られ、天使に手を引かれ、芒野原を歩いていく。思い出で満杯になった短い人生の器を大事に抱えて、君は天へ。  そっとカメラを構える。それは一瞬を切り取る魔法の道具。僕の初めての写真は、君の笑顔だったね。シャッターを切ったその一瞬には、光の中を飛ぶ一羽の鳥が悠々と翔んでいた。その鳥がそっと方向転換し、一鳴きしてまた、光へと吸い込まれていく。  「また逢いにくるね。雨上がりの光を辿って」
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加