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「今日は傘、持ってるんだね」
声のした方を見ると、そこには俺より頭一つ分小さい女の子がいた。
「あ…」
「22時頃までは止みそうにないよ」
「あ、あの…えっと、こ、こないだ」
シュミレーションは散々したはずなのに上手く言葉が出てこない。
「私2年7組の神田美空。知らないと思うけど、大沢くんと同じ委員会だよ」
「え…7組?じゃあ、たまたまいなかった時だったのか…」
「ん、何て?」
「いや、別に…ていうか名前に"空"って、リアル天気の子じゃん」
「だから、違うし。私が操ってる訳じゃないっての」
「こないだマジで5分ドンピシャで止んだし」
美空はちょっと得意げに、俺に携帯を見せてきた。
「これ知らない?天気予報アプリ…"ウェザー丸"」
「え、これ見て5分後に止むって分かったって事?」
「このアプリは本当におすすめだよ。今すぐダウンロードしなよ」
「あぁ…うん」
「できた?」
「……携帯出したついでにLINE教えてよ」
「え、いぃ…良いけど」
「ついでに一緒に帰ろうぜ」
「ま、まぁ…良いけど」
グリーンの傘を一つ。
パープルの傘を一つ。
それぞれにポンと開いて歩き出す。
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