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新しい家族
ノアは、
「雑用でも、なんでもするからここにおいてくれませんか。」
と頼み込んできた。私たちは、ひとまずノアの体調回復を優先することにした。
我が家のイカダでは、政府から各地の小学校で配給された、水力発電機のおかげで、電灯はおろかテレビまで見ることができるようになっていたことに、ノアはすごく驚いていた。
住み始めてから少し経つが、やはりイカダの壁や屋根は頑丈で、不自由はほとんどなかった。
ノアは、温かいご飯が食べられるだけで、涙を流していた。
「いっぱいお食べ」
と、祖母がこんもりと盛ったご飯を残すまいと、無理をしているのもまた、可愛らしかった。
私の両親が医療系の仕事をしていたのが幸いしたのか、ノアはすぐに体力を取り戻した。
お風呂用の薪集めに流木を拾いに行けるようにまで回復したころ、ノアの誠実で優しい性格が分かってきた私たち家族は、快くノアを家族の一員にすることにした。
ノアの19歳の誕生日をお祝いするのだ。
ノアがいつものように流木を拾いに行ったとき、私たちは最後のホットケーキミックスでケーキを焼き、折り紙で鎖の飾りを作って飾った。幼稚園のお遊戯会みたいになったけれど、なかなかのパーティー会場になったと思う。
ノアが帰ってきた。
「ただいまー!」
「あれ?みなさん?」
ノアがドアを開けた。
「ハッピーバースデー!ノア!そして、ようこそ本田家へ!」
ノアは、驚いた顔をして、少し放心状態になった後、目には涙を浮かべていた。
「もう、ノア坊は泣き虫さんね。」
祖母はケーキを切り分けながら言った。
「我が家に息子ができたな!」
と喜ぶ祖父母に、私は顔を赤らめる。
きっと、そういう意味じゃないよね?
「みなさん、いや、みんな、ありがとう!」
ノアは、やっと緊張が解けたのか、ケーキを食べたらすぐにソファで寝始めてしまった。ノアの部屋をお披露目したかったのに。
ノアの部屋は、私の部屋の隣で、それを紹介したのは、次の日の朝だった。
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