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不審者の正体
男が目を覚ますと、男とノアと私と祖父で、話し合いを始めることになった。
やはり、この男はノアの父らしい。
今は、ノアの両親の母国で、政府の役員をしているそうだ。そのため、英語しか話せないらしい。
しかし、ノアは父とあまりうまくいってなかったらしく、父と会話をしたくなくて、あえて英語の勉強に精を出さなかったのだとか。
だから、祖父が通訳となり、ノアはこの家で過ごしたい旨を伝えた。それでも、ノアの父はかたくなにノアを連れ戻そうとした。
私も、ノアにここにいて欲しい。その旨を、自分で、英語で頑張って話してみると、ノアの父は、しっかり耳を傾けてくれた。案外悪い人ではないのかもしれない。
それでも、なかなかノアを諦めてくれない父親に、ノアは
「ちさとと愛を誓い合ったから帰れない!」と豪語してしまった。
「ええ!?」
私は、普段は小動物のようなノアが、そんなことを言うとは思わず、びっくりした。
祖父はニヤニヤしながら、ノアの父にわかるよう翻訳した。ノアは気づいていないらしいが、祖父はかなり話を盛って、翻訳した。
この爺さん、後で覚えてろよ!!
すると、ノアの父は、なんと快くノアの滞在を許してくれた。
なんでも、Love is important the best.
愛こそが最も大切だ、とのことらしい。
私に、
「ノア、ヨロシコオネガーシマウス」
と告げるノアの父は、やはり悪い人ではないと感じた。
ノアに、
「愛を誓い合ったってほんと?」と聞く。
ノアは、
「連れて行きたいところがある」
と、急に私を連れ出した。
私はドキドキする。これってもしかして…
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