雨の降り続くこの世界で

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雨の降り続くこの世界で

時に、グローバリゼーションとは世界規模化、世界の一体化を意味するという。世界が水没してから、この世界は文字通り、この地球を覆うたった一つの大海原で繋がった。一体化したのだ。 2030年、政府からの水上風力発電機が導入されたこともあり、電気の供給はかなり落ち着いた。 今では私の集落は、近くでは一番の都市となり、つい最近では上水道とWi-Fiが整備され、随分放置していたスマートフォンが使えるようになった。 とはいえ、元のサーバーがある都市部が沈んでしまった以上、使える機能はそう多くはないのだが。 あの日の胡蝶蘭は、本当は白色だったらしい。ノアは、どうしてもピンクの胡蝶蘭にしたくて、赤い水を与え続けたのだとか。そんなノアの努力が嬉しい。 ノアは、父親への意識が変わり、最近祖父に英会話を教わっている。 私とノアの結婚式はまだ挙げられていない。式場がないからだ。だから、2人で最高の結婚式場を作ることが、当面の目標だ。 そして国連は、この雨はそろそろ増加をやめ、現状を維持していくだろうとの見解を発表した。 これからも各国の研究グループが、この雨の原因究明を続けていくそうだ。 この雨がはじまってから、世界は大きく変わった。大災害に間違いないし、命を失った人も少なくないだろう。 だけど、雨が降り続けるこの世界でも、私はノア、夫と、家族や友人と一緒なら、きっと楽しい。 ー雨が降り続くこの世界で。完
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