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ロープ狩り
竹が全て切り終わると、カビが生えないよう、丁寧に水気を取って、家の小屋や蔵で干した。
祖父が、互い違いに竹を組み合わせていく。それを私が押さえて、父がロープで結ぶ係だ。
しかし、ほんの2、3本組んだ所で、イカダ用のロープを切らしてしまう。
「ますお、ちさと、ロープ狩りしてきてくれ。」
ロープ狩り?という耳慣れぬ言葉に、耳を疑ったが、祖父はしゃがれた声で続ける。
「ホームセンターでもらえるやろうから。」
もはや、父とロープ狩り?に行くよう、祖父に命じられたからには、行かねばなるまい。祖父こそが、我々イカダ作り班のリーダーなのだから。
どこで覚えてきたのか知らないが、祖父は法律に語学、音楽に大工業、農業と、多才な人であった。
父と買い物に行くのは随分久しぶりだ。もっとも、買いに行くわけではないのだが。なんだか遠足気分でウキウキしてきた。
明日のロープ狩りの支度をする。懐中電灯と、リュックサックを用意し、リュックサックには防水スプレーを吹きかけた。
何やら、両親の寝室から黄色いビニールのようなものがはみ出していて、シュコシュコ、不穏な音が聞こえてきたが、あまり気に留めずに眠りについた。
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