再会

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手首に嵌められた手錠。 今はベッドの柵にくくりつけられていないから、部屋の中を自由に動き回る事はできる。 シャワーにも行ける。 だけど、囚われている事に変わりはない。 ザァァァ…… 未だに激しく降る雨音。 竜一専用の携帯は、あの部屋に置いたまま。 三日連続……なんて、奇跡みたいな事はあり得ない。 多分、一度も鳴ってはいないんだろう。 竜一もまだ、僕の異変に気付いてはいない筈。あの龍って人が、竜一に何かを吹き込まない限り。 「……」 目的は、何だったんだろう。 何であの部屋に、突然押し入ってきたんだろう。 竜一を探していた……とは思えない。もしそうなら、僕を捕まえて真っ先に問い詰める筈だから。 『最近、何か変わりはねぇか?』──ふと、竜一に言われた台詞が思い出される。 まさか、僕……? ……でも、僕になんて興味など無さそうな眼をしていたし。何処かで見た事がある程度の認識で、竜一のオンナの訳がないと、言い切っていた。 「……」 竜一との関係を、内部抗争中の敵対組織に知られた訳じゃないとすれば……一体── 「……そのままだったのかよ」 いつの間に、眠ってしまったんだろう。 パタン、とドアの閉まった音の後、近付く足音と共に少し呆れた声が聞こえ、目が覚める。 「……」 ……確かに。 ハイジが出て行ってから、一歩も動いていない。 ベッドに降りてさえも…… 横向きの身体を起こそうと、もぞもぞと手足を動かす。ただ、それだけなのに。僕に注ぎ込まれた精液が、溢れ出てしまう。 「──ッ、!」 ……痛い…… 切れた所が染みて、痛い…… 「ほら、」 強引に僕を仰向けに倒し、首の下に腕を差し込むと、ハイジが僕の上体を起こしてくれる。 その瞬間──白濁液が更に溢れ、シーツが濡れ広がっていく。 「……」 それが空気に晒されれば、ひやりと冷たくて。乾いている肌にも濡れて不快感が増す。 「……さくら」 ハイジがベッド端に腰をかける。 何処から取り出したのか、手には黒革の短いベルトがあった。 「痕が目立つから、これ付けろ」 僕の首に、そのベルトを巻き付ける。 そして自身の首を傾げ、絞めすぎないよう調整しながらつく棒で止めると、定革に剣先を通す。 「……」 痕というのは、キスマークの事ではなく。多分、首を絞めた時にできた圧痕の事だろう。 もしキスマークなら、鎖骨の辺りにまで付けられているし……このベルトひとつで隠しきれそうにないから。 「……ハイジ」 「似合ってんな……」 硬く重厚感のあるそれが、簡単に僕を人間以下にする。 シャラッ…… 首輪にある飾りの鎖が、音を立てて小さく揺れた。
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